【医師監修】鼻整形後の感染症リスクについて|対処法と再手術の内容を解説
「鼻整形をやりたい。でも、SNSで『感染した』『後遺症が残った』という投稿を見て不安になった」——そんな気持ちで検索している方へ。
怖いからこそ調べている。その姿勢は、とても正しい判断です。
結論からお伝えすると、鼻整形における感染症の発生率は約1%以下。100人に1人起こるかどうかという頻度です。ただし、100%安全な施術は存在しません。だからこそ、リスクを正しく知った上で判断することが大切です。
この記事では、感染症・後遺症のリスクを隠さずお伝えし、「知った上で選ぶ」ための情報を解説します。
この記事でわかること
- 鼻整形で使われる「異物」の種類と特徴
- 感染症が起こる原因と発生確率(約1%以下)
- 異物が原因で起こりうる後遺症の具体例
- 万が一感染した場合の対処法と修正手術
- 感染リスクを下げるためにできること
本記事は形成外科専門医・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医である丸山成一医師の監修のもと作成しています。
前提知識…感染につながり得る「異物」って何?
感染症についてお伝えする前に、そもそも感染リスクにつながる「異物」について簡単に解説します。
異物とは、自分の組織ではない人工素材のこと。鼻整形では、主に以下のようなものが「異物」と呼ばれます。
シリコンプロテーゼ

I型プロテーゼ

L型プロテーゼ
医療用シリコンで作られた「形を整えるための土台」のようなもので、鼻を高くする手術で最もよく使われる素材です。私は異物の中でもシリコンプロテーゼはトラブルが少なく、古くから行ってきました。
I型(鼻筋だけに入れるタイプ)とL型(鼻筋から鼻先まで入れるタイプ)の2種類があり、現在はトラブルの少ないI型が主流。L型は鼻先に負担がかかりやすく、まれに皮膚を突き破って飛び出してくるケースもあるため、使用頻度は減っています。
注入物(ヒアルロン酸など)
ヒアルロン酸は体内にもともとある成分で、いずれ吸収されるため安全性が高い素材です。
ただし効果は半年〜1年程度と一時的。一方、アクアミドやアクアリフトといった非吸収性の注入剤は体内に残り続け、時間とともに周囲に広がったり、体がそれを異物と見なしてカプセルを作って囲い込んだり、硬いしこり(肉芽腫)を形成するリスクがあります。
当院にも「他院でアクアミドを注入したが取れますか?」という相談が多く寄せられますが、注射では取り除けず手術が必要になります。
当院では非吸収性の注入物は推奨していません。
オステオポール(PCLなど)
溶ける糸を固めた人工軟骨で、「切らない鼻整形」の素材として一時期話題になりました。
2年ほどで体に吸収される設計ですが、皆さんが想像している以上に硬く、プロテーゼや耳の軟骨よりもずっと硬い素材です。
そのため、溶ける前に鼻先の軟骨が押し潰されて凹んでしまったり、皮膚が薄くなって飛び出してくるリスクがあります。
糸による施術
体内で吸収される医療用糸を鼻筋に入れて高さを出す方法もあります。
糸の素材にはPCL(ポリカプロラクトン)、PDO(ポリジオキサノン)、PLA(ポリ乳酸)などがあり、いずれも「溶ける糸」と説明されることが多いですが、PLA糸は体内に影響が残ることがあります。
短時間で手軽に受けられる反面、正しい位置に固定しにくく形が不自然になりやすい、周りの組織にからんで取り出しにくいといった理由から、修正が必要になるケースが多い施術です。
数年経っても糸はしっかり残っていて、周りの組織とくっついてしまうため、取り出すには手術が必要になります。
自分の軟骨を使う方法も
人工物ではなく、自分の耳の軟骨や肋軟骨を採って移植する方法もあります。
「自分の体の一部」なので、拒絶反応や感染のリスクが低いのが大きなメリット。ただし軟骨を採る分、手術時間やダウンタイム(回復期間)が長くなる傾向があります。
ただし大切なのは、リスクを理解した上で選ぶこと。当院では、できるだけ人工物は入れない方針で、自分の軟骨を使った施術を推奨しています。
もしプロテーゼなどの異物を選択する場合でも、主治医としっかりプランニングを行い、無理な手術は避けることが大切です。
【本題】鼻整形の“感染リスク”ってどのくらい?
「感染症ってどのくらいの確率で起こるの?」「なぜ起こるの?」これは多くの方が気になるポイントではないでしょうか。
ここでは、感染症のリスクを「原因」「タイミング」「確率」の3つの観点から解説します。稀ではありますが、ゼロではない。この事実を正直にお伝えしていきます。
原因:傷口からの「細菌侵入」
鼻整形は外科手術です。切開した傷口から細菌が侵入すれば、感染症が起こりえます。
手術直後は傷がまだ完全に閉じておらず、菌が入りやすい状態です。腫れや血の巡りが悪くなることで体の抵抗力も落ちているため、普段は何も起こさない「肌に住んでいる菌」でも炎症を起こすことがあります。
原因となる菌で多いのは「黄色ブドウ球菌」。
聞き慣れないかもしれませんが、実は鼻の中や皮膚に誰でも持っている、ごく普通の菌です。普段は悪さをしませんが、傷口から体内に入ると膿を伴う炎症を起こしやすい性質があります。また抗生物質が効かないMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)などもあり、術後は特に気をつけましょう。
風邪などで全身の免疫力が落ちているときや、傷の近くにニキビができたときも要注意。異物があると、弱い菌でも感染に発展してしまうことがあります。
タイミング…「①:術後すぐ」と、数年後の「②:遅発性感染」
感染症が起こるタイミングには、大きく2つのパターンがあります。
① 手術直後に起こるパターン
基本的に「感染」というのは、術後1〜2週間以内に起こるケースがほとんどです。
傷口がまだ完全に閉じておらず、菌が入りやすいためリスクが最も高い時期。症状としては、腫れや赤み・痛みがいつまでも引かない、傷口から膿が出る、熱が出る——といったものがあります。
このパターンは、早めに飲み薬(抗生剤)を使えば重症化を防げることが多いです。
② 数か月〜数年後に起こるパターン
プロテーゼや糸など人工物を入れたケースでは、傷が治った後しばらくしてから感染が起こることも。「ずっと問題なかったのに、急に鼻が赤く腫れてきた」という事例もゼロではありません。
原因の一つは、異物の表面に菌が薄い膜を作って住み着いてしまうこと(バイオフィルムと呼ばれます)。
ごく少数の菌が長い間潜んでいて、風邪やインフルエンザ、歯医者さんでの治療などで体力が落ちたときに、急に暴れ出すことがあります。
「手術から数ヶ月経ったからもう安心」というわけではなく、異物が体内にある限り、微小ながらも感染リスクは続くと覚えておいてください。
感染率‥「約1%以下」といわれるが“ゼロ”ではない!
鼻整形における術後感染の発生率は約1%以下といわれており、100人に1人起こるかどうかです。またもし万が一、感染してしまったとしても、上で解説したように抗生剤などで炎症を抑えることが可能です。
ただし覚えておいていただきたいのは、医療において、「何人に1人は必ず起こる」という明確な“確率”は存在せず、あくまで『膨大な症例の中で、どれくらいの割合で起こったか?』から算出された指標です。
つまり『1%だから安心/危ない』とは言い切れません。
あくまで“安全性を示す目安”でしかないことを覚えておいていただきたいです。
【院長コラム】2回目以降はさらにリスクが高まる
- 一度目で満足できず、2回目以降も実施したい
- 1回目で失敗され、修正手術を行う
こういった『再手術』による感染率は3.63%と、初回と比較して約19倍に上昇します。
鼻は手術を繰り返すと、傷跡で硬くなり柔らかさが失われますので、一度手術した鼻をもう一度手術する場合はさらにリスクが高まることも覚えておいてください。 もちろん致し方なく再度行う判断をされる方もいらっしゃると思います。その場合は「一度目と同じだし」と考えず、しっかりと医師から『再手術のリスク・危険性』も聞くようにしましょう。
鼻はほじらない!
またこれは鼻整形をする多くの方に言えますが、鼻をほじる癖のある人は要注意です!!
指先に常在している黄色ブドウ球菌を傷に塗り込んでいるようなものです。癖のある人これを期にやめましょう。
鼻整形で起こりうる「後遺症/症状」について

「どんな症状が出るの?」「後遺症って具体的に何?」これも多くの方が気になる点でしょう。ここでは、異物が原因で起こりうる具体的なトラブルを解説します。
①:術後2週間以上腫れ・赤み
通常の術後経過では、腫れや赤みは日ごとに引いていき、1〜2週間もすればだいぶ落ち着きます。
しかし感染が起きると、こうした症状が改善せずに持続したり、悪化したりします。
感染症が疑われる症状
- 術後2週間以上経っても腫れ・赤み・熱感が引かない
- 傷口から黄緑色の膿が出る、悪臭がする
- 発熱(微熱〜高熱)が続く
膿がたまると中の圧力が高まり、プロテーゼが押し出されて位置がずれたり、周りの組織にダメージを与えたりする恐れもあります。
時間が経てば良くなるはずの症状が、逆に悪化している場合は、早めに受診してください。「様子を見よう」と放っておくと、最悪の場合、軟骨が溶けたり、皮膚に壊死を起こすケースもあります。
不安があれば自己判断せず、必ず手術を担当したクリニックへ相談してください。
もしそのクリニックが不安というようであれば、セカンドオピニオンとして別の美容クリニックで診断してもらうようにしてください。
②:プロテーゼが硬くなる・飛び出す・変形する
感染に至らなくても、体内に入れた人工物に対して慢性的な「異物反応」が起こることがあります。
プロテーゼの周りが硬くなる(カプセル拘縮)
体が異物を「排除しよう」として、周囲に硬い膜を作ってしまう現象です。
この膜がギュッと縮んでシリコンを締め付け、形が歪んでしまうことも。ひどくなるとプロテーゼが曲がったり浮き上がったりして見た目が不自然になり、取り出しや入れ替えが必要になる場合があります。
プロテーゼが飛び出してくる
特にL型プロテーゼで起こりやすいトラブルです。
鼻先の皮膚に常に力がかかり、年月とともに皮膚が薄くなることで、最悪の場合シリコンが皮膚を突き破って出てきてしまいます。鼻先の皮膚が赤くテカテカしてきたら要注意のサイン。I型プロテーゼでは飛び出すリスクは低いですが、皮膚が薄くなってプロテーゼの形が透けて見える状態になることもあります。
変形・位置ズレ
術後の強い外力でプロテーゼがズレたり、長年のうちにわずかに移動したりするケースも。オステオポールでは、時間経過とともに沈み込んで鼻先の軟骨を押し潰し、変形してしまった事例も報告されています。
異物によるトラブルが進むと、周りの組織に取り返しのつかないダメージを与えることも。違和感を覚えたら早めにクリニックで相談してください。
まとめ:リスクを知った上で、納得して整形を行っていただくために
鼻整形の感染症・後遺症について、リスクを正直にお伝えしてきました。
この記事のポイント
- 鼻整形の感染率は約1%以下と低いがゼロではない
- 早期発見(対応)なら飲み薬で治り、取り出した後も修正手術でやり直せる
- 実は「鼻をほじる」行為もキケン…!
リスクをゼロにはできません。でも、下げることはできる。そして、リスクを十分に理解してから施術を受けた人の方が、結果に満足しやすい傾向があります。
怖いからこそ調べているあなたは、すでに正しい方向に進んでいます。
当院は形成外科専門医・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医の丸山成一が、カウンセリングから手術、アフターケアまで一貫して担当します。
不安なまま施術は進めません。リスクも含めて納得いただいてから、一緒に理想の鼻を目指しましょう。




















