投稿日:2009.01.26 最終更新日:2026.07.17
どうして丸い欠損を縫合すると、傷は長くなりdogearができるの?
丸く比較的大きな(黒子、色素性母斑、良性腫瘍)、円形の瘢痕などを切除する場合に、
その後の再建をどうするかプランニングは重要です。
我々形成外科医は、縫合、皮弁、植皮などで欠損部を再建します。
今回はそのうちの縫合の話をしますが、
まあそれは医師側に話なので後述。
一方で患者様は、“取った後どうなるのか?”を気にされます。
傷は?長さは?凹むの?膨らむの?などなど。
例えば、
比較的大きな丸い形の黒子を取る場合、
切除後の欠損は、部位にもよりますが、
皮膚に一定のtensionがかかるために、
同じ大きさの欠損にはなりません。
少し大きくなります(ちなみに瘢痕切除後は更に大きな欠損になります)。
その欠損部分を無理なく縫合できるようであれば、
皮弁や植皮などで再建する必要はありません。
縫合閉鎖で十分です。
ただし・・・
その丸い欠損を縫合すると、縫合した傷は必ず長くなります。
また“ある変形”が生じることがあります。
ではわかりやすいようにカラーボールを使って説明しましょう。
(私はカウンセリングの際に2つのカラーボール用いて説明しています)
【丸い欠損を縫合した場合】

ボールに丸い穴をあけます。
それをそのまま縫合します。

長くなりました。
そして横から見ると、

中心部が凹み、両サイドが山のように盛り上がり(変形)ます。
この変形を“犬の耳” dogearと呼びます。
顔でいえば局面、つまり頬や鼻尖部に何らかの手術を行い、
生じた欠損部を縫合すると、
傷は長くなり、傷の両端はdogear変形を起こすわけです。
この両サイドの山を修正すると、さらに傷は長くなります。
一方で次の場合はどうでしょうか。
【紡錘形の欠損を縫合した場合】

ボールに紡錘形の穴をあけます。
そのまま縫合します。

少し傷は長くなりますが、
横からみても、

凹みもなければ、dogearも生じていません。
では、頬の丸く大きな黒子を切除する場合、
患者様にはどう説明し、そしてどうプランニングするか、
説明では、傷が長くなること、
そしてdogearができる可能性があることを必ず言います。
そして黒子だけでなく、一部正常組織をあわせて切除することも付け加えます。
できればデザインを見せておくことも大事でしょう。
切除は、丸い黒子に正常組織を一部加え、
紡錘形に切除するデザインにします。
そうすることで、
傷が長くなること、そしてdogear変形を予防します。
最後に丸い穴と紡錘形の穴を縫合して比較してみましょう。






やっぱり紡錘形がよいですね。
丸く大きな黒子・色素性母斑・良性腫瘍、円形の瘢痕などを切除する場合は、
説明とプランニングは大切です。
それを怠ると、
「こんなに長い傷ができるなんて!」
「傷の中心が凹み、両サイドが盛り上がってしまっている」
このような医師と患者様の間にトラブルが生じてしまいます。
気をつけましょう。
丸山成一




















